コラム

大切にしたい「遺品整理や実家の片付けで必要な資産や権利を守る事」

大切にしたい

皆さんは「遺品整理やお片付けに実家の片付け」に、どんなイメージをお持ちですか?

片付けや掃除が嫌い、面倒臭い、と思う方が多いかも知れません。解体作業で行うように、室内から荷物を出すという作業をイメージする方もいるでしょう。

また、ゴミ屋敷やモノ屋敷を思い浮かべ、キツイ&汚い作業だから他人に頼むのだとイメージされる方もいるでしょう。

そんな片付け業者を選ぶ時、どんな基準で選びますか?

「捨てるものしか無いだろうし、捨てるものにかける料金は安いほうが良い」と考える方が多いのでは無いでしょうか?

もちろん、ご本人やご家族で大事なモノを管理把握し、片付けやゴミの搬出作業も自分たちで行えば、費用負担も少なく安心できる事でしょう。

しかし実際に、数々のお宅の片付けや遺品整理のサポートをしてきた中には、思いがけずに貴重品や、大切なものが見つかる事がありました。

今日はそんな

消費者保護や、権利擁護の視点から考える「お片付けや遺品整理」の現場での実例をご紹介致します。


ゴミから大金が!は実際にある

「ゴミの中から大金が!!」というニュースが話題になったのは、何年前でしょうか?落とし主を探したら何人も名乗りを上げて根拠を探すのに時間がかかったそうです。

最近では、年に何回も「ゴミ集積場や処分場から大金が出た」というニュースを聞きます。実際にその額は年々増えているそうです。



隠した事を忘れられた資産

現金が見つかる

私の携わった現場でも大なり小なり現金が出てくる事は少なくありません。

引き出しの中や冷蔵庫の下から出てくる小銭類だけでなく、椅子の裏側に貼り付けたヘソクリが10万円以上出てきた、書類などをまとめた箱の隅から、銀行から下ろした10万円が出てきた、テレビ台の下から1万円が出てきた、海外旅行の鞄から海外の紙幣がまとめて出てきたなど、事例を上げればキリがありません。

1万円でも1円でも、お金はきちんと管理したいものですね。

指輪やネックレスなどの貴金属が出てくる

高齢になると、アクセサリーをつける事も少なくなるのでしょう。ある事さえ忘れてしまった貴金属や時計などがあちこちから出てきます。

金、プラチナ、銀、宝石類、は1箇所に集めて管理しましょう。その中でもメッキの物と18金やプラチナ、銀などは資産として管理しましょう。金杯などの24KGとあるのはメッキですが、純度の低い10金や銀製品はたまに見かけます。

一度老人ホームに入られた老婦人の部屋からは、3箇所から指輪などの貴金属が見つかりました。1箇所は保険証券などを入れてある貴重品鞄の中、2箇所目はベッドの足元にあった中が空洞の丸椅子の中、3箇所目はなんと化粧台の下にあった期限切れの健康食品の箱の中から出てきたのです。きっと思いつきで隠したけれど、隠した事さえ忘れられた結果では無いでしょうか。

頂いたままや準備したままの香典や祝金

頂いた香典や祝金の袋がまとめて置いてある事があります。しかし、そこからお金が出てくる事は滅多にありません。ですが、引き出しの中に香典としていつでも出せるように準備している封筒の中から、現金が出てくる事はあります。

また香典返しで商品券を用意した残りが箱の中に入ったままで置いてあったり、お祝金を頂いた封筒に入ったまま見つかったりした事はあります。

商品券や宿泊券は保管したまま放置されている

また、商品券や宿泊券が出てきた事もあります。

引き出しの中だけでなく、押入れに積み重ねられた布団の下から商品券が出てきた事があります。これはもしかしたら頂いた時に大事に仕舞っておこうと押入れの中に忍び込ませたが、忍びこませた事自体を忘れてしまった結果なのではないかと想像します。商品券などを頂いたり、抽選で当たったりした旅行券を「いつか使おう」「何かあった時に使おう」とタンスの肥やしになったまま、忘れてしまうケースなのでは無いでしょうか。商品券などはデパートなどが閉鎖するとその商品券の価値も無くなってしまいます。私の経験した現場からは、期限の切れたデパートの商品券、レコード券、アイスクリーム券、などが出てきた事もありました。


忘れられがちな資産

満期の預貯金の権利は期限がある?

郵便局の定期預金は満期後約20年を経過すると権利が消滅する事はご存知でしょうか?休眠預金を社会的な生活困難者の支援などに活用する法律も、運用までには至っていないようですが今後は何かしらの対策がとられていく事になるでしょう。

お片付けでは何冊もの預貯金の通帳が出てきます。使われている預金通帳なのか、解約済みなのかを確認するのも一苦労ですが、せっかく貯めた貯金が権利消滅になってしまうのは避けたいですね。仮に50歳で満期の20年後は70歳、60歳で満期だと80歳はすぐです。50歳〜60歳位の年齢の方であれば、まだまだ働けるので何かあった時のためにとそのまま放置され忘れられてしまうのではないでしょうか。

郵便局の満期の消滅時には権利消滅の催促状が出されるそうですが、住所が変更している場合など、手元に届かない事もあり得ます。自分の預金などの資産は管理・把握しておきたいですね。

払い済みでもらい損ねる保険金

こちらも実際にあった貰い損ねるところだった保険金の話です。

遺品整理で依頼主の弟さんは、存命中のお兄様から資産や保険の話を聞いていたらしく、

「保険は無いと聞いています。大事なものはもう無いのでお任せします。」と依頼をお受けしました。「保険は全部解約していると聞いている」と仰っていましたが、気になる書類が重なっていたため、念のための確認をご提案しました。3箇所の保険会社に確認したところ、一箇所の保険会社で払込済みで300万円の支払い対象の保険があったのでした。

解約済みの保険金でも、死亡時には給付金が出るケースや解約時点までの返戻金を返金していないケースもあります。一度確認してみてはいかがでしょうか?

家族も知らない互助会への加入

預けたままで権利を行使していない資産が何百億もあるのでは?と言われている互助会へ預けたお金です。互助会に加入したが、利用することなく登録者が高齢になっているケースがあるそうです。亡くなった時に家族に迷惑を掛けないようにと考えて積み立てていても、家族が知らなければ他の葬儀屋に頼んでしまう事になります。過去にお付き合いで入ったりしていなかったか、再度確認しても良さそうです。

昔の有価証券類

今の時代、株は電子で保管している方が多く、紙でできた株券が出てきても古いから権利が無いと捨ててしまいがちです。ですが紙の株券であっても効力を持っている事はあります。

相続を行わずに放置されているケースや、資産がある状況だと大した金額ではないだろうと放置されているケースもあるようです。若い頃に株をやっていた事を家族に知らせていない事もあるので、捨てる前に一度確認してみましょう。

ちょっと待って、本当に捨てて良い?

要不要の判断をしても置いてみる

高齢者の介護の際に「本人が捨てて良い」と言ったから捨てたのに、トラブルになる事があります。生ゴミや壊れたものであれば別でしょうが、高齢者の捨てる判断を、そのまま鵜呑みにしない事も資産や権利を守るためにも必要なように思います。

いくつか例を上げてみます。

「捨てて良いと言ったから捨てたのに、後で拾ってきてしまった」

「捨てて良いと言ったのに、後になって『勝手に捨てられた』と言われてしまった」

こんな話をお聞きする事があります。

今まで捨ててこなかった世代の方や、捨てる習慣の無い方は、モノに執着してしまう傾向があります。そのような時は、本人が捨てて良いと言っても、一旦は捨てる予備軍の箱に入れたり、ゴミ袋に入れてもベランダに仮置きしたりして、考える時間を少し置き再度確認してから本当に捨てるように段階をおく方が良いのかも知れません。

「大事な物をゴミ箱に捨ててしまう」という症状

ある方から「お父様が、亡くなったお母様の大切なアクセサリー類を、ゴミ箱に捨てていたのを慌てて拾った」という話をお聞きしました。

これは大事なものを把握する事が難しくなる認知症の症状の1つだそうです。

高齢や認知症に伴う症状にも様々ですが、大事なものを捨ててしまい、逆に捨てるべきものを大事に取っておくような症状もあるようです。家族や介護の方はご本人が捨てて良いと言ったとしても「資産や権利を守る」という意識でどこかに保管しておいてあげる事ができると良いですね。

物盗られ妄想の症状

お片付けでは、高齢者の方の物盗られ妄想の話もよく聞きます。実際に施設へ入居する方のお片付けをお手伝いしたのですが、ずっと被害を訴えておられました。

主な訴えは、

「大事なモノを盗られた」

「家の中に勝手に入ってモノを取っていく」

「後でまた返しに来る事もある」

「監視カメラか盗聴器で聞いていて見張られている」

上記のような内容です。

そして自分の手荷物を管理しよう管理しようと手持ちの荷物が増えていくようです。幸い私の事は信頼してくださっていたのですが、安心して暮らして貰うために、大きな文字で付箋を貼ったり、その保管場所を写真に収めて何度も説明するようにしました。

私は認知症などの専門家ではありませんが、頭から否定せず、カレンダーや手帳に記載したり、大きな紙に書いて分かりやすく理解できるようにしたりして対応しました。

ラベリングなどをして見える化する事は、お片付けでも大事な管理把握方法です。

遺言書は捨てない、勝手にあけない

私は遺品整理の現場から遺言状が出てきた事があります。それも亡くなってから3年以上経過した空き家整理での出来事です。

仮に全部捨てて良い、と言われたからと作業員が遺言書を捨ててしまっていたらどうでしょうか?また内容への興味か確認の意味であっても遺言書を勝手に開けてしまったらどうなるでしょうか?

遺言書が見つかった場合は相続のやり直しをする事になるそうです。また公正証書ではない遺言書が出てきた際は、家庭裁判所で正式な手続きで開封する事が必要になります。作業員やお手伝いの人が勝手に開けたりしないように注意しましょう。

デジタル遺品も要チェック

今後問題になると予想されるのが、デジタル遺品です。

パソコンの中にデータや写真など大事な物を保管してあったり、FX証券やネットバンキングなどの資産に関連する物を管理したりしている方が増えています。その他にもネットショップに出品していたり、毎月定額の引き落としなどをIDとパスワードで管理していたりします。フェイスブックやLINEなどのSNSが管理者不在となってしまう事も考えなくてはなりません。室内の目に見える物だけでなく、デジタル化された物の把握管理も必要でしょう。

遺された人が困る事

遺品整理などで、お部屋を片付ける際にご遺族が困るのはモノが多すぎる事もですが、

「大事な物が有るか無いか?それもわからないので、全部片っ端から確認しないと心配だ」と考えるからです。

「この部屋に大事な物は無い」のか「大事な物は1箇所にまとめてある」のか

その点だけでもわかるようにしておいて欲しいものですね。

 

また以前、弁護士の先生とお話しをした時に

「貸金庫を借りているかどうかなど、資産の目録だけでもあって欲しい」と仰っているのを聞いて「なるほどな」と思いました。

相続資産の決定や、相続放棄をするか否かを3ヶ月以内に決めなくてはならない時には、せめて資産目録だけでもあって欲しいものです。

へそくりや、昔集めた切手帳やコイン帳などが本棚の中に入ったままになっている事もあります。気付かずに捨ててしまわないように要チェックが必要ですね。

 

私の経験では、認知症の方の部屋のそれも金庫ではなく無造作に置かれた壺の中から金のプレートが出てきた事がありました。200万円程の価値の物でした。その他にも着物のたもとに120万円が縫いこまれていた例もあります。

タンスの引き出しの裏側に現金入りの封筒を貼り付けたり、ソファの椅子の間から見つかったりというのも聞きますね。

そんな事が実はたくさんあるので、ごみの中から現金が出てくる話が頻繁にニュースになるのでしょう。

 

しかし実際に出てきた物が、ごみ処理場で見つかっても持ち主の所に戻る事はそうそう無いのです。あった事も知らず、持ち主だったという事を証明できる事が難しいからです。そのためにも事前に把握管理しておく事と業者選びが大切になるのです。

 

プライバシーへの配慮、消費者利益の保護、お客様の資産を守る意識のある業者、権利擁護の視点や知識のある業者、また廃棄物の知識や意識のある業者を選びたいですね。

それと同時に遺品整理や生前整理では大事なものを見つけ出す意識や知識を持つ事も大切な一つの側面になるでしょう

 

間違って捨ててしまったりせずに、権利や資産を守る事がきちんと出来るように、お伝えしていきたいと考えています。


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