コラム

【事例紹介】安易に買うなら古いモノを大事に使う選択肢も有り

安易に買うなら古いモノを大事に使う選択肢も有り

お片付けや遺品整理・終活整理のご依頼では、様々なご相談をお受けします。

その中には不要になったモノの[手離し方]や[売り方]、[残し方]のアドバイスを求められる事が多々あります。

整理収納アドバイザーやライフオーガナイザーなどの立場から申し上げますと、「手離し方」や「売り方」、「残し方」で迷った際には、自分にとって使うモノや価値のあるモノを残すようにアドバイスします。

例えば「貴重品や資産」は、当然残しますよね。

でも、モノが多過ぎる場合や「自分にとっては不要なモノ」と判断して「リユースや買取」にする決断をする場合もあります。

「愛着品や思い出の品」はどうでしょうか?

「使うもの」や「思い出の品」として取っておく事も出来ますが、こちらもモノが多過ぎる場合などは「自分にとっての大切なモノ」を厳選する必要があります。

しかし、この時に決められずにそのままにしたら、部屋はどうなってしまうのでしょうか。自宅の部屋は荷物だらけになってしまいますよね。さらにそのまま放置することで、どんどん片付ける気が失せてしまうと思うのです。

もちろん、一定期間の時間を置く事で心の整理がつき、少しずつ減らすケースもあります。しかし大概の方は荷物が増え続けるのでは無いでしょうか。

 

時々、「新しいモノを買えばいいから、全部捨てて!」というお客様がいらっしゃいます。それも選択肢の一つではありますが、一歩間違えれば「使い捨て社会に貢献してしまう」ことになってしまいます。そうならない為にも、捨てるモノ、取っておくモノ、質の良いモノ、悪いモノを見極める目を養っていきたいですね。

ところで[質の良い物]は意外と手軽に買えるモノよりも、古い食器棚の中など、身近なところで見つかったりするのをご存知でしょうか。

次に、そのような会話が交わされたあるお客様の事例をご紹介します。


安易に買うなら古いモノを大事に使う


食器棚から使うモノを厳選するUさん宅

お電話をいただき伺ったUさんの祖父母のお宅は、4LDKの広い一戸建てでした。

室内は、長年暮らしているとどうしても出てしまうようなモノが沢山ありましたが、特段に荒れた様子はなく、比較的きれいなお部屋でした。

ところが驚いたことに、1階の書斎と2階の納戸を開けると、そこは大量のモノが溢れかえっていて、部屋の奥まで見渡せないような状態だったのです。Uさんに事情を伺うとどうやら家は2年前から空き家になっていて、Uさんのお父様(居住者の祖父母さんから見ると息子さん)が毎週のように通いながらお片付けを進めていましたが、なかなか進んでいない状態が続いていたそうです。

そんな状態を見かねたUさんは、社宅からこの家に移り住む事を決めたそうで、今回のご依頼につながったという事です。

 

Uさんのご希望は、全部一掃するのではありませんでした。要るモノと居らないモノを仕分けした上で、要らないモノでもなるべくリユース(再利用)品として欲しい事でした。そして人が暮らせるスペースを確保する事でした。

Uさんは、ひとまず3部屋を使えるようにしたいとの事でした。処分する荷物の量を見積もったところ、トラック2台分の量があり、それを運び出す作業員の数も含めた見積り額をご提案しました。Uさんはすぐに承認され、早速作業が行われる事になりました。

「なるべく捨てずに使って欲しい」「再利用できるものを区別して欲しい」というUさんのご希望を踏まえ、輸出できるモノや寄付できるモノなどを見極めながら作業をしました。

 

ダイニングの食器棚があり、シンクの上下の棚の中

ダイニングの食器棚には、小皿・大皿・和皿・洋皿・コップやワイングラス、和食器も大中小、丸、四角、長細いお皿、粗品や貰い物、などがたくさん詰め込まれていました。また、シンクの上下の棚にもびっしりと食器や厨房道具が詰め込まれていました。これを一つ一つ仕分けの判断するのは相当の労力が必要になるものです。

実は、こういった光景をよく見かけます。

人はあまりにも多すぎる荷物を目の前にすると、圧倒されてしまうあまり、何を取っておけば良いのかの判断が難しくなり、途方に暮れてしまうのです。

それでも、「こんなにあっても、使わない…」「今は手頃に新品が変えるし…」そんな気持ちにもなります。

また「古いお宅の食器棚にずーっと入ったままだったモノは使いたくない」心境があったり、「中古品は苦手」と言う方もいらっしゃるでしょう。

でも、

「新しいもの買うよりも、使えるものは生かしたい」

「出来るだけ、物は捨てずに使いたい」

「安物を買うよりも、良い物を長く使いたい」

そんな気持ちもどこかにあるのでは無いでしょうか?

日本国内のリサイクルショップなどでは、陶器やガラス類のリユースは難しいとされています。箱入りの新品や、ブランド物であれば値が付く事もあるけれど、保存状態が良くないと値が付かない事の方が多いのが現状です。

しかしそれが海外のだと話は逆で、日本の製品はUSED品でも高く評価されることがあるようです。

 

実際にある古物の競り市場に行った時の事です。

海外の古物商(営業を許可された古物を扱う業者)たちが、和食器や茶器を競りあい、値段が高騰していくのを見た事があります。おそらく日本国内では評価されなくても、海外の方にとっては価値のあるものなのでしょう。そんな価値のあるモノを日本人は捨ててしまうなんて、なんだかちょっともったいない気がしませんか。

 

一体日本人の見る目はどうなっていくのでしょう。日本の良いモノが海外から評価され、日本では新品という名の海外で大量生産されたモノで溢れている。

これはモノだけに言える事ではなく、和の伝統文化は日本国内では後継者不足になるほど関心が低いのに、海外から来た方たちは関心が高く、実際に日本人より詳しかったりします。嬉しい反面、なんだか複雑な心境に陥ります。

 

そんなお話をUさんにしたところ、

「新しいモノを買う予定だったけど、今あるモノの中から使えるモノは使おう!」とおっしゃってもらいました。

そこで私たちは、必要なだけ、使うだけ、のモノを仕分けました。

 

その後、リユース出来る物はリユースに回し、残りを廃棄にしました。

 

 

さて、この場合に於ける注意点をお伝えします。 いくらまだ使えるモノであっても、程度の悪いモノを他人や海外の人に押し付ける事はご法度です。なぜなら、海外では、環境整備や法整備が為されておらず、野ざらしにされたりする事で更に環境を悪化させてしまう事も問題になっています。

衣類のリユースはリユースと言いながら、回しているだけで実際に使用されているのは10分の1程度しかない、という説もあるからです。

ゴミを海外に押し付けているような行為となっているのが現状です。このような事が起きる理由としては、需要に対して供給過剰になっている事が考えられます。これでは資源の無駄ですし、買ったお金も[もったいない]事に成りかねませんね。

これからの時代は、「新しいモノを買っては使い捨て」するより、私たち消費者が「古いモノでも質の良いモノ」を、見極める目を持つ必要があると私は考えます。

食器棚から使うモノを厳選するUさん宅


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